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観劇こそ我が人生

~観劇備忘録~

song cycle musical「a Shape」Tryout公演【感想】

ミュージカル さ行

 

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今回は千葉まで行って野外劇を観に行ってきましたよ。

と、言うのもわたくし、ここ数年で野外劇を見る機会がちょくちょくありまして。
「野外劇やります」と言われると「お?じゃあ、行ってみようかな?」と思う程度にはハマっておりまして。
1回目は柿喰う客さんの水上ステージでの野外劇。
2回目はベッド&メイキングスさんによる公園に建てた芝居小屋での野外劇。
そして、3回目になる今回は、千葉にある農園さんの庭を借りての野外劇を体験して参りました。

当初、千葉に行くにも足がないので諦めていたのですが、嬉しいことに製作さんがバスツアーを提案してしてくれたので、まぁ、ホイホイと申し込んだわけです。はい。
まさか芝居を観に行くだけの為に30人乗りの中型バスで移動する日が来るなんて思いませんでした(笑)

しかも、公演当日はまさかの台風。
2つだか3つだかの台風が同時に日本の辺りをうろうろしているとかで、雨が止んだり降ったりする中、「本当に今日上演できるか…?」と不安になる私。
しかし、バスに乗り込むと人がぎっちぎちに埋まっていた。演劇オタクは強かった。と、いうか、ただのドMなオタクの集まりでした。
だって、懐中電灯とレインコート持参が必須の小さな舞台をわざわざ車で2時間かけて観に行くってただのドMでしかない。
(私もその内の一人だったわけですが)
現場からは「意地でもやる」との連絡が入ったらしく、不安の中、東京駅を出発したバスは千葉へ。


現地に到着して「星空劇場 プラネタリウム館」という看板を通り抜けると、ロッジの前に椅子が並べられてありました。

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このロッジが今回のステージになるらしい。

※以下、ネタバレ注意※

簡単なあらすじ

とあるプラネタリウムにやって来た4人の男女。彼らはそれぞれ、夢を見、夢に破れ、物思い、星座を眺めに訪れた。
彼らのためにプラネタリウムの従業員が用意したいくつもの星座の物語の中で繰り広げられる様々な神と人の生き様は、
見る者たちに何かの道標を示す…だろうか…
(公演チラシより拝借)

***


様々な事情を抱えた男女4人がプラネタリウムにやってきて、「a Shape 〜星のなりたち〜」というプログラムを見聞きしながら物思いにふける。という設定。

「ストーリーが主役じゃないミュージカル」が今回のコンセプトなのだそうだ。
プラネタリウムなので、もちろんナビゲーター役がちゃんと居て、ナビゲーター役の村岡宏樹さんが星の成りたちを観客に説明しながら、その星座にまつわる事情を持った人が独り言を頭の中で言うように歌う。みたいな構成。
村岡さんも喋りながら時には歌う。そんなソングサイクル方式のミュージカル。

ソングサイクルについては下記の記事で少し説明しているので、宜しければこちらもどうぞ。

kngekigurashi.hatenablog.com

 

感想

西川さんが扮したのは、夢を追い続ける男。
彼自身が色々なことに挑戦している方なので、ぴったりな曲だなと思いました。
相変わらず歌い方が好み。身体全部を使って歌っているところが好きなのです。
パエトンの曲ではミュージカル調に喋りながら歌っていたので、ちょっとレミゼラブルっぽくて楽しかった。
そして自然の中にあるステージなのだが、蝉にタックルされていて痛そうでした。

吉原さんが扮したのは、やりたいことが見つからずにふらふらとしている男。
西川さんが歌声で人を惹きつける人なら、吉原さんは演技と人柄で人を惹きつける人だな、と思う。
天秤座がモチーフの「正義って何?」と唄った歌は、吉原さんが歌うと聞かせて考えさせる力がある。
自分の考えに芯を持っている方なので説得力がありました。
レミゼラブル以外で吉原さんががっつり歌っているのをあまり聞いたことがないので、
双子座の歌で西川さんと兄弟役でデュエットしているのも聞けて良かったです。

Emaさんが扮したのは、好きな人を信じきれなかった女。
松本さんが扮したのは、好きな人に話しかける勇気がない女。
お二人とも初めましてなお方。
吉原さんと西川さんが演劇的に歌う人たちなら、Emaさんと松崎さんはアーティステック的に歌う人たちだ。
Emaさんはジャジーな歌声でエモーショナルに歌っていました。
松本さんは千葉で活躍しているシンガーソングライターさんなのだそうで、ゆりかごにでも揺られているような心地良さを耳からくれるような歌を唄う人だった。
好きな人を思う気持ちは大きいけれど、どうも上手くいかない女性の歯がゆい気持ちを2人で歌っていました。

そんな男女4人が、同じ空間で同じ場所を見上げて、同じプログラムを見聞きしながら全く別のことを考えている。
それは私達の日常でも頻繁に起こっていることで、この公演を観に来た私たち観客も、それぞれが色々な気持ちを抱えながらこの公演を観ていたはずだ。
そういう意味で言うと、ステージと客席に大した境目はなく、ナビゲーターである村岡さんを中心に、全員がひとつの作品に携わっている不思議な空間だった。
劇場で見るのとは違い、野外という開放的な場所だったのもあるのかもしれない。

「皆さん空を見上げてみて下さい」

そう言った村岡さんの言葉で一斉に空を見上げる私たち。
始まる前には一等星しか出ていなかった星空も、公演が終わる頃にはたくさんの星で空が飾られていた。
台風で大荒れだったのがまるで嘘のようだった。

星空なんて、久しぶりに見上げた。
実家に帰れば星空なんていつでも見上げることが出来るのだけれど、大人になってビルの多い街に移り住んでから星空を見上げる機会は随分と減った気がする。
ちなみに、疲れた時に空を見上げると満足中枢が刺激されてドーパミンが分泌することによって疲れを感じにくくなるらしい。
その上、ガーデンステージにはハーブが植えられていて、道を通るとほのかにハーブの香りがするので、リラックス効果は抜群だ。
そんな自然環境の中で、虫のオーケストラとアコーステックギターをバックに時には寂しく、時には明るく、時には叙情的に綴られるショートショートなミュージカル。

今回はトライアウト公演ということで、ミュージカルと言ってはいるものの、ミュージカル要素は薄くあくまでもソングサイクルが主体になっていたので、星座のナビゲートと歌を交互にすることで、一般の人でもミュージカルは知らないけど気軽にミュージカルに触れることが出来たのではないだろうか。

去年で25周年を迎えたらしいウィッシュボンプロジェクト。
「子供たちに楽しい芝居を身近な所で見せたい」という思いで旗揚げされたプロジェクトなのだそう。
そしてこのプロジェクトは25周年を節目に休止しよう、という話になっていたのだが、吉原さんの「続けなくてはいけない」「俺たちが繋げるから」という言葉で今回響人が制作に加わり、トライアウト公演として本作を上演することになったらしい。
吉原さん達もsongcycleという形式の芝居もっと日本に広めたいという思いで脚本の藤倉さんと共に作り上げた芝居なので、芝居をもっと身近なものにしたいという気持ちはどちらも同じなのだ。

そんな人と人との繋がりを感じつつ、また演劇の新しい可能性を見たような一日だった。

本公演は11月とまだまだ先の話だが、西川さん以外キャストが代わり、今度は都内で上演されるらしいので、会場が野外から屋内になってどう変わるのかが、楽しみです。

 

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 (公演前日に作ったてるてる坊主。効果があったのかな…?)

 

Wishborn project × Artist company 響人 Song cycle musical
「a Shape」TRYOUT

日程:8月20日(土)

会場:松崎進宅ガーデンステージ (千葉県君津市戸崎)

脚本・作詞・作曲:西川大貴、藤倉梓

プロデュース:吉原光夫

 出演:松本佳奈 Ema 吉原光夫 西川大貴 村岡宏樹 高木大輔(Gt).