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観劇こそ我が人生

~観劇備忘録~

「ミス・サイゴン2016」プレビュー公演【感想】

ミュージカル ま行

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「ミス・サイゴン」プレビュー公演2日目を観劇してきました。
お目当てはプレビュー公演2日目が初日になる新クリス役・小野田龍之介くん。
帝国劇場ではアンサンブルキャストとしての出演はあるものの、プリンシパルキャストとしては初めての出演です。
ようやく念願の帝国劇場で贔屓の歌を堪能することが出来た…と作品に乗じて泣きまくった私。
鼻水じゅるじゅるだよもう(汚い)いやー…本当におめでとう!!!!!

本来、昆夏美さんがキム役で出演しているはずの今回の公演でしたが、声帯結節の為に休演され、帝国劇場公演ではキム・スハさんと笹本玲奈さんの2人で演じることになっています。
夏美ちゃんに関しては、きちんと完治して地方公演で復帰してくれることも期待しつつ、キムさんと玲奈ちゃんに関してもそうですけど、無理はせず無事に大楽まで行けることを祈るばかりです。

 

簡単なあらすじ

1970年代のベトナム戦争末期。
17歳で家を焼かれ、家族を失ったキムは、首都サイゴンでエンジニアに拾われ、彼が経営する売春宿「ドリームランド」で働くことに。
サイゴンでは、エンジニアが経営する売春婦のコンテストである「ミス・サイゴン」が行われていた。
そこで、戦友のジョンに無理矢理連れて来られた米兵クリスが、キムの最初の客になる。
そして、ぎこちないキムの誘いで一夜を過ごし、恋に落ちる二人。
キムは婚約者であるトゥイを拒絶し、クリスと共に生きることを誓い、結婚式を挙げることに。
しかし、サイゴンは陥落。アメリカ兵達は撤退し、クリスはキムと引き離されてしまう……。

それから三年後。
クリスはアメリカ人女性・エレンと結婚。一方のキムにはクリスとの子供であるタムが生まれていた。
クリスが自分達を迎えに来てくれると信じ込んでいるキムと、昔の悪夢を忘れ、新しい人生を歩もうとするクリス。
エンジニアを使い、キムをようやく探し出したトゥイは、タムがクリスとの子供だと知ると、タムを殺そうとナイフを突きつける。
咄嗟に銃の引き金を引いてトゥイを射殺してしまったキムは、エンジニアと共にバンコクへと逃げ延びる。

ジョンの知らせでキムの安否と自分との子供が居ることを知ったクリスは、ジョンの勧めでエレンと共にバンコクへ向かう。
クリスとジョンがキムを探している間にクリスがバンコクに来ていることを知ったキムは、慌ててクリスが泊まっているホテルの部屋へと訪れる。
エレンだけが居る部屋へ飛び込んだキムは、クリスの妻だと話すエレンの話を聞き、絶望した。
せめて子供だけでも引き取って欲しいと頼むが、エレンに拒まれる。
タムだけでも貧乏な暮らしから離れ、アメリカで幸せに暮らしてほしいと願うキムは、クリスとエレンにタムを託すと、一人部屋に残り、ピストルで自殺するのであった。

 

感想

 

小野田龍之介氏、帝国劇場で堂々と持ち前のクリアで伸びやかな聴き心地の良い歌声を披露してくれました。
新クリスということで、新鮮味と純度の高い小野田氏のクリスに、キム役としては5回目の経歴を持つ笹本玲奈さんのキムの相乗効果で、ただでさえ悲痛な作品がより一層増していた気がします。
ひたすらに優しいだけの男、結構ピッタリな配役でした。

そして、年々パンプアップしていく様に「この筋肉、一体どこまで育てるのか…?」とファンが思っていたあの上半身(笑)
よもやこのサイゴン公演の為に育てた筋肉なのではないか?と思うほど、もりもり育った筋肉も見せてくれました。
大使館のドライバーとはいえどアメリカ兵士ですしね。
シルエットだけならヒュー・ジャックマンだよ…。
大胸筋もだけれど、三角筋からの上腕二頭筋育ち過ぎかよ…。
もしも岡幸二郎さんが続役でジョンをしていたら、うっかり筋肉コンビになるところでしたね。
パク・ソンファンさんも意外とがっしりとした体をしていそうですが。


そう、パク・ソンファンさんといえば、ブイ・ドイがとても良かったのです。
母国語ではないというハンディキャップを抱えた今回の公演ですが、日本語をとても頑張っていらっしゃって、私はほとんど気になりませんでした。むしろ歌声がまた素敵で。
力強い圧を感じるブイドイよりも、自分たちの罪を訴える力が大分こもったまた別の強いブイ・ドイに感じました。


「ブイ・ドイ」とは、北ベトナムの人々が、ベトナム戦争に従軍したアメリカ兵と、南ベトナムの女性たちとの間に生まれた子供を指した呼び名。
ブイ・ドイとはベトナム語で、「靴の裏についた糞」という意味らしい。
同じ国の人間でも、別の国の血が混ざっている無垢な子供たちを軽蔑して付けられたのがこの呼び名。
戦争によって産まれてしまったそんな子供たち。自分達にもその罪を背負う責任がある。彼らの為に救済活動をしていこう。という演説の歌がこれ。
日本語訳だと意訳過ぎて、どうして彼らが混血児の為に救済活動をしようとしているのかまでの詳しい背景がいまいち伝わりづらいのは毎度のことです。


ダイヤモンド☆ユカイさんのエンジニアは、「セコイ・汚い・悪い」の三拍子が上手い具合に効いていました。
それこそ泥の付いたお金を「へっへっへっ…」ってゲス顔で数える姿なんかが似合いそうなエンジニア。
でも、セコイが自分の夢にとにかく一途。なんだろう、良い意味で味が出ていたなと。
初日からアドリブを入れて観客を笑わせつつ、セカイさんなりの「アメリカンドリームを掴むための夢を見る男」を作り上げていました。
長期公演なので喉が心配ですが、無理せず演じて欲しいです。


キム役として見るのは初めてだった笹本玲奈さん。
熱を込めて演じている!というのが見た目では感じられないのに、内側からその熱意をひしひしと感じました。
「I'd Give My Life for You(命をあげよう)」を聞いてグッときたのは彼女が初めてです。
女として、そして人間としての幸せを願う少女が、やがて自分の子供の幸せを思う純粋さ。
女性としては見るのが本当に辛いんですけど、それくらい健気でひたむきなキムでした。


久しぶりにこの作品を観ましたが、改めて"演劇"ならではの作品であるなと。
映像では規制がかかりすぎて上手く表現出来ない内容だからこそ、演劇という場所でここまで現実に忠実に作り上げることが出来ているのだと思います。
きっと、現実はこの悲劇以上のことが起こっていたのでしょうし、そういう意味でも劇場でしか体験することのできない作品であると思うので、色んな人に観て欲しい作品です。

19日から本公演が始まる本作品。
また帝国劇場公演が終わる頃に追記で色々書けたらいいなぁ。

ひとまずプレビュー公演の感想は、この辺で。

 

ミュージカル「ミス・サイゴン2016」

2016年10月15日(土)~18日(火)プレビュー公演
2016年10月19日(水)~11月23日(水・祝)
東京都 帝国劇場

2016年12月10日(土)・11日(日)
岩手県 岩手県民会館 大ホール

2016年12月17日(土)・18日(日)
鹿児島県 鹿児島市民文化ホール

2016年12月23日(金・祝)~25日(日)
福岡県 久留米シティプラザ ザ・グランドホール

2016年12月30日(金)~2017年1月15日(日)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール

2017年1月19日(木)~22日(日)
愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール

オリジナル・プロダクション製作:キャメロン・マッキントッシュ
作:アラン・ブーブリル、クロード・ミッシェル・シェーンベルク
音楽:クロード・ミッシェル・シェーンベルク
演出:ローレンス・コナー
歌詞:リチャード・モルトビー・ジュニア、アラン・ブーブリル
ミュージカル・ステージング:ボブ・エイヴィアン
オリジナルフランス語テキスト:アラン・ブーブリル
追加振付:ジェフリー・ガラット
追加歌詞:マイケル・マーラー
舞台美術原案:エイドリアン・ヴォー
翻訳:信子アルベリー
訳詞:岩谷時子

出演:市村正親、駒田一、ダイアモンド☆ユカイ / 笹本玲奈、昆夏美、キム・スハ / 上野哲也、小野田龍之介 / 上原理生、パク・ソンファン / 知念里奈、三森千愛 / 藤岡正明、神田恭兵、池谷祐子、中野加奈子 ほか

※ダイアモンド☆ユカイの「☆」は六芒星が正式表記。