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観劇こそ我が人生

~観劇備忘録~

「TRUMP2015-TRUTH.Ver-」観劇【感想】

ストレートプレイ た行

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「TRUMP2015-REVERSE.Ver-」観劇【感想】 - 観劇こそ我が人生

「TRUMP2015-MARBLE.Ver-」観劇【感想】 - 観劇こそ我が人生

 

木枯らし吹きすさぶ六本木の街を駆け抜けて、観に行ってきましたよ新生TRUMP。
けやき坂通りのイルミネーションを横目にお耽美ゴシックホラーの世界へ。
 
六本木ブルーシアターは初めましてだったのだけれど、なぜ劇場入口まであんなに遠いのか。
やったー!着いたー!と思ったらまた坂を登らなきゃいけないことに気付いた時の絶望感ったらなかった。
ロビーは縦長で、トイレが混むとロビーまで列が伸びてまた狭くなるスタイル。
椅子は直角。頭まで被ってくれるのはいいのだけれど、当分お近づきしたくない劇場の殿堂入りを果たしました。
元々はブルーマングループ専用のライブ劇場ですしね。
観劇用に作られていない劇場なんて大体そんなもんですよね。
おめでとうございました。
 

簡単なあらすじ

繭期(人間でいうところの思春期)を迎えた若きヴァンプ(吸血鬼)達が暮らすクラン(ギムナジウム)。
その生徒であるソフィ・アンダーソンは優秀な生徒だった。
しかし、ヴァンプと人間の混血種(ダンピール)であるため、周りのヴァンプからは「穢らわしきダンピール」と忌み嫌われていた。
そんなソフィにいつも話しかけるのはヴァンプ界でも指おりの名家「デリコ家」の次男であるウル・デリコだった。
完全階級社会で誰もがソフィに嫌悪感を覚える中、ウルだけはソフィに心惹かれていた。
そんな中、ウルは「不死の力」を求めて研究をしている内に、「TRUMP」という存在を知る。
TRUMP(TRUE OF VAMP)。ヴァンプの頂点であり始まりの吸血種。
かつてヴァンプ達は誰もが不死の力を持っていた。
しかし、それを羨んだ人間たちは「ヴァンプ狩り」を行い、それまで均衡を保っていた人間とヴァンプは完全に敵対するようになり、互いに不死の力を巡って争いを始めた(血の戦争)
そして不死の力を持つものはTRUMPによってこの世から消されてしまう。
故にヴァンプは酷く人間を憎んでいた。
そしてダンピールは混血種が故に短命な存在であった。
それはソフィもまた例外ではなかった。
ウルはTRUMPに願えば永遠の命を手に入れられるかもしれないとソフィに伝える。
 
一方、問題児アレン・ストラウフのお目付け役であるティーチャークラウスはいつも校内でアレンを探し回っていた。
クラウスは授業をサボったり夜中に寮を抜け出したりするアレンを叱るが、アレンは何度言っても話を聞かない。
その上クランを抜け出し、どうやら人里に下りて人間の女と会っているらしく、そのことが原因でとんでもない悲劇が起こってしまう…。
 
 
***
 
※下記ネタバレを含む感想※
※D2版のみ観劇。「SPECTOR」「LILIUM」はDVDで視聴済みな人間の感想になります。※
 
 
初見でもないのに最後のティーチャークラウスとアレンのやりとりで自然と涙が出てきてしまうTRUMP。
 
前回のD2版を観た時にも思ったのですが、末満さんは人の感情を上手く魅せる演出をされる方だなと。
言葉は飾りとまではいかないけれど、あくまでも動く人間が主体の動く人間だからこその芝居を作られてる気がする。感情で動く、みたいな。
D2版TRUMPは若いカンパニーだったせいもあり、脆く未熟な心が徐々に崩れていく幼い少年の儚さがあるお芝居だったけれど、新生TRUMPは各々が内に持つ狂気や希望、欲望が徐々に閉鎖空間を壊していくというおどろおどろしい感じのお芝居でした。
 
それから新しい衣装がまたフリルがたくさん付いていて可愛らしかったです。ギムナジウムらしく生徒みんながお揃いの衣装っていいですね。
しかし、ヴァンプは階級社会なので上流貴族の子達には他の子と違い、袖や胸にフリルがたくさん付いていました。
TRUMPのキャラクター達の名前は画家達の名前から取っていると末満さんブログに書いてありましたが、このフリルというのもルネサンス期に上流貴族達の間で流行ったファッションなんですよね。
 
そしてSPECTORとLILIUMをふまえた追加台詞も見所のひとつでした。
今まで腑に落ちなくて穴が開いていた箇所にホイ、とスポンジを詰め込まれた気分。
そこら辺の話はまたあとで。
 

個々の感想

ソフィー・アンダーソン/高杉真宙
里見八犬伝の時に見ているらしいのだけど、記憶にないのでほぼ初めまして。
正に映像の子!って感じの演技でした。
儚い感じとメリーベルは美人だったんだろうなーと思わせるような美少年。
お人形さんみたいだった。
ただ私が観た回全て台詞が噛み噛みだったので、途中からはもう「頑張れ…!」という気持ちで見ていました。若いうちに学べ学べ。
美少年に加えて今よりも芝居がもっと上手くなったら、きっとインパクトのある俳優さんになるんだろうなあ。
 高杉くんのソフィは芯が強そうなソフィだったので(あの早乙女ウルの熱量を受け止めるだけの器がある高杉ソフィは強い子だよ、うん)一人でも勝てる山本ラファエロの強さに憧れる姿にも違和感がなかったです。
LILIUMのファルスにも重ねて見ることが出来る外見なので、LILIUMを見ている人には色々と思うところもあったんじゃないでしょうか。
 
ウル・デリコ/早乙女友貴
髪型はパーマ(?)がかかった髪を一つ縛りに。
THE板の上の子。
確かに滑舌は良くはない(それでも以前までに比べたら良くはなっている)
しかし滑舌は芝居の熱量でカバーです。それくらい熱量が凄かった。
早乙女友貴はああいう泣かせの演技が本当に上手い。あの演技を見せられるとついこちらも感情移入してしまう。
とにかく感情表現がストレートで、後半、自分の感情を爆発させているのを見て、必死に劣等感とかそういうものを内に抑え込んでいたんだなあと思わせるようなウルだった。
そしてD2版とは違い、元気ハツラツ熱血系。
戦闘シーンになると動きがキレッキレになるのでとても死にそうには見えなかった。
良い意味で期待を裏切られた感じでした。
最後の演技は流石と言ったところ。
死ぬ一歩手前で床を転がりまわっているので、もうヘアスタイルはぐっちゃぐちゃでした。1人で迫真の演技過ぎる。
でも転校生紹介の時にあくびするウルは白目剥いてたりしていてかわいかったです。
グスタフにお説教を受けている時のゆっくんも色々な顔を作っていて、いつもスカした顔してる彼にしては珍しかったなあ。良いことだ。
久保田ジョルジュへの平手打ちは楽しそうだった(そして朱雀シックになったのは言うまでもない)
 
ティーチャークラウス/陳内将
前回のD2版クラウスよりも今回の方が「静」から「動」への意識(徐々に心が壊れていく感じ)の移動がはっきりとしていたような気がする。
SPECTORの山浦クラウスをちょっと意識しているのかな?と思ったり思わなかったり。
後半はあまりにも役に入り込み過ぎて、口開きっぱなしで涎をだっらだっら垂らしていたので武田アレンの衣装が…って1人で勝手に心配になりました。
ある意味彼も板の上の子。
いつも真剣に役と向き合う姿勢は素敵だと思います。
クランを案内する時に萬里に「付いてこなくていい」と言われた陳内クラウスが「嫌ですぅー!私も行きますぅー!」って駄々こねてた時は「多少のわがままは言えるようになったのか?」と思ったり思わなかったり。
「ダメダメなティーチャークラウス」と「始まりの吸血種トランプとしてのクラウス」の落差が今回は激しくてさすが続役なだけあるなと思いました。
それからTでもRでもやっていたのだけれど、ダリ卿の登場シーンで音に合わせてサスペンダーをデッデッ\パチーン/て引っ張るのが可笑しすぎてあのシーンは陳内くんばかり見てしまいました。
イケメンモブずるい。
 
アレン・ストラウフ/武田航平
可愛く言えばお花畑。けれど純粋な繭期ほど恐ろしいものはないなと思う。
アレンは生まれた時から色んな人に愛されて生きてきたのかもしれない。
そして、後は自分が愛した人に愛されて結ばれて死ねれば、それで満足だったのかもしれない。武田アレンはそんな感じがする。
だからクラウスがアレンに執着していることなんてきっと知りもしないのだろうし、人間と交わる事でダンピールが生まれるなんてことはこれっぽっちも気に留めてないし、きっとその子どもすらも幸せになるに違いないって思っていそうだから本当にアレンは罪人だなって思う。
「今目の前にあるもの」しか見えていないアレン。
目の前の物が魅力的なら近づくし、興味がないことは考えもしない。
それは無慈悲で残酷だ。
メリーベルはそんな純粋無垢なアレンに神秘的な何かを感じて、それこそ惑わされたのではないかと思えてしまう。
クラウスに対しても「じゃあ、クラウスはずっと一人ぼっちなんだね」って慈悲も愛情も全くない。
これほどまでにクラウスは報われないのか!と悲しくなったアレンは居ない。
キャスパレで踊っていたクラウスを離したアレンの無邪気な笑顔にゾッとした。
 
ラファエロ・デリコ/山本匠馬
イケメン騎士ラファエロ。見た目がもう強そうで、そんな強そうな兄に対して弟が早乙女ウルなのでデリコ家の最強兄弟みたいな感じになっていた。
父のためデリコ家のためというよりは、ウルのために動いているように見えた。
早乙女ウルは我が強そうだからいつも反抗されて守護者大変そうだな…と思ったり思わなかったり。
でも持ち前のイケメン力と絶対的兄貴力でそれとなくウルを丸め込んでいそう。
そんなラファエロにソフィが憧れているものだから、ソフィに憧れているウルはますます兄さんを妬んでいそうですね(安心してください、妄想ですよ)
 
アンジェリコ・フラ/田村良太
オカッパ貴族万歳。
ガチでお友達が少なそうなアンジェリコ様。
顔立ちも洋風なのでレミゼ仕込み(?)の上品さも相まって貴族のお坊ちゃん感満載でした。
TRUTHはミケ先生(と、いうかメタルさん)が大きいので、わざわざジョルジュの背中に乗って上から目線で先生を見下すという戯れをしてくれた可愛らしいアンジェリコ様。
あんな性格だから噛むことでしか人間関係築けないのかなと思わせる不器用さ加減は田村アンジェリコが合っていたんじゃないかなと思います。
そう思うと、ジョルジュとモローだけはアンジェリコの良いところも悪いところもひっくるめた上で付いているのかなと考えただけで三人トリオに愛しさすら芽生えます。
アンジェリコ様のお誕生日パーティー話、私いつまでも待ってます(末満さんへ)
それからモブ役の時にセンターで歌わされていたのには笑いました。
帝劇でセンターに立っていらっしゃいましたもんね。
まさかブルーシアターで歌声を聴くことになるとは思わず。
 
臥萬里/平田裕一郎
ノームがそのまま大人になりました、みたいな綺麗な顔の優しい系萬里。
クラウスの平穏を守るためというよりはソフィを守るために来たという感じ。
完全にクラウスに対して敵意剥き出しだった。
自己紹介の時から人を寄せ付けないようにしていたのは仲間との連絡が取りづらくなるからかな?
彼がノームなのだと思うと、コミュニティの中で忌み嫌われ孤立した者同士、何か惹かれるものがソフィにはあったのかもしれない。
 
ピエトロ・ロンド/大塚宣幸
飛龍伝の時に見ているので初めましてではないはずなんだけど、気持ち的には初めましてな人(ヒドイ)(あとでジャンヌダルク見直しますね)
クラウスもアレンもふわふわしていたから大塚ピエトロがまともに見えたのは気のせいではないはず。
気苦労が多そうだけれど、面倒見がいいピエトロ。
あと声が良かった。
 
ティーチャーグスタフ/岡田達也
初めましてな岡田さん。
髪の毛の逆立ち加減がトロール人形を思い出すグスタフ。
Ⅾ2版と違って大人キャストがこの役をやるとサディスティックの中にも自分の中の常識とか理念とかダンピールや人間に対する憎しみが深そうで、萬里との会話の中にも嫌悪感が見て取れるなと思った。
SPECTORのパンフレットにグスタフに関する短編小説が載っているので、いつかは手に入れたいです
(現在ニコニコ動画チャンネル内「末満健一の幽機交流領域(有料)」にてこのTRUMPシリーズ短編集 『ドナテルロ回顧録』が読めるようですよ)
 
ティーチャーミケランジェロ/吉田メタル
この方が出てくると一気に絵面が濃くなる。
見た目に反して声が柔らかくて音域も高いのでオカマ先生似合っていました。
軽々とアンサンブルの子をお姫様抱っこしたのを見た時は流石筋肉だな、と。
そういえばミケランジェロって、ダンピールであるソフィのことをどう思っているんだろう。
謎の多い人物の一人でもある。
 
ジョルジュ/久保田創
岡村さん演出作品以外の久保田さんを観るのは今回が初めてな気がする。
30代終了までのカウントダウンを刻んでいる繭期がダンスシーンでは一番前に立って頑張っていらした。(ちなみに岡田さんは40代)
 
モロー/森下亮
初めましてなお方。
随分と可愛らしい声とお顔が印象的な人。
 
アンサンブル 植田順平/日南田顕久/傳川光留
肉声でも声がよく通る人たち。
ソフィをいびる時に植田さんが髪の毛をいじっている仕草が何か好きでした。
 
末満さんのダリ卿は割合させて頂く。
「ダーリちゃーーーん」は今回も健在でした。
 
 
 

ソフィとウル

前作までウルとソフィは「友達」という描写にあまり固執していませんでした。
しかし、今回の再演では「友達」が二人の仲で重要なワードのひとつになっています。
自分がダンピールであることを受け入れ、達観しているソフィに自分にはないものを見つけて憧れを抱くウル。
それにウルがダンピールだと知らないソフィは、自分に近付くウルのことが嫌いではないにしろ好きではなかったと思います。どんなに気にかけてくれようとも所詮ウルはヴァンプでありダンピールの自分とは違うから、と。
そしてウルがダンピールだと分かると、ウルを受け入れようという気持ちに変わります。
前回はウルだけの気持ちの描写が多くて分かりにくかったソフィの感情が、今回細かく描写されて分かりやすくなっていました。
ウルが不老不死になったらの話で「仲間をたくさん作らなきゃ。女の子をたくさんだ」という追加台詞がありましたが、ソフィの感情が分かるようになったおかげで、後のLILIUMでソフィがどれだけウルのことを思っていたのかが分かりやすく繋がるようになりました。
 

アンジェリコとラファエロ

アンジェリコがラファエロにあれほど執着する意味が前回ではよく分からなかったことが今回分かるようになっていてとても良かったです。
クランフェストの時のラフェロへの気持ちが痛々しく、アンジェリコはラファエロと同じ世界を観たかっただけなんだな、と。それも親友として。
ただおバカさんでエリート気質なせいでその伝え方が超絶極端に下手くそなだけだったんだな…とアンジェリコに感情移入しやすくなっていました。

ラファエロがアンジェリコのことをどう思っていたのかまでは流石に分かりませんでしたが、末満さんのツイート曰く、この2人は親の代から確執があったようなので色々とこちらも因果が深そうです。

クラウスとアレン

今回一緒に観に行った友人に「クラウスがアレンに執着する理由が分からん」と言われて考えました。
自分が持っていないものをアレンが持っているから惹かれているのかなと以前の私は思っていたのですが、アレンを見ていると永遠に生きる自分のことをその時だけは忘れられるからなのかなあって考えが今回は浮かんできました。
永遠の命を持って「不老不死」となったクラウスは、恐らく望んでその力を手に入れた訳ではない。だからこそ永遠に生きなければいけない苦しみに囚われている。
性格的にもメンタルが強そうには見えないし、そんな彼は「永遠を生きなければならない」と悟った時どれだけの絶望を感じたのでしょうか。
あのソフィですら3000年の時を経てクラウスと同じようなことを始めてしまったのだから、不死という孤独は相当なものなんだと思います。
そんなクラウスの前で自分のしたいように今を生きるアレンはクラウスにとって神様でも見てる気分だったんじゃないでしょうかね。
自分には絶対に届かない星。手を伸ばしてみても、やっぱり届かない。
そんな星がクラウスに触れてきたのが、結局は二人の始まりなんじゃないかなと思います。
アレンのお目付役として当てられなければ、アレンがクラウスに近付かなければ、こんなことにはならなかったんじゃないかなと。
アレンがクラウスに心まで触れてきたせいでクラウスは「もしかしたら星に手が届くかもしれない」と希望を見出してしまい、アレンに憧れてしまったのかもしれない。
そう考えると、そんなクラウスに「永遠の命なんていらないよ」「メリーベルに会えないなら生きていないのと同じだ」ってクラウスにサラッと言ってしまう純粋で残酷なアレンはやっぱり一発殴るべきである。クラウスが可哀想すぎる。
優しい優しいクラウス。
優しいからこそさまざまなものに置いて行かれていくクラウスを見ているのはつらいものがありました。

もうクラウスは末満さんを憎むしかない。
 

REVERSE感想記事に続く。

kngekigurashi.hatenablog.com

「TRUMP」
日程:2015年11月19日(木)~11月29日(日)
会場:Zeppブルーシアター六本木

【出演】
高杉真宙/早乙女友貴/平田裕一郎/山本匠馬/田村良太/大塚宣幸/久保田創/森下亮/植田順平/日南田顕久/傳川光留/吉田メタル(劇団☆新感線)/岡田達也(演劇集団キャラメルボックス)/末満健一/武田航平/陳内将
【作・演出】 末満健一
【音楽】 和田俊輔
【美術】 田中敏恵
【照明】 加藤直子
【音響】 早川毅
【衣装】 早川和美
【ヘアメイク】 国府田圭
【舞台監督】 鈴木政憲
【宣伝美術】 東學
【宣伝写真】 福山楡青
【企画・製作】 NAPPOS UNITED

 

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