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観劇こそ我が人生

~観劇備忘録~

「Marry Me A Little」-西川大貴×清水彩花.ver-観劇【感想】

 

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「Marry Me A Little」について

この作品、ちょっと普通のミュージカルとは違うレビュー的要素がある。
と、いうのも表題の「Marry Me A Little」を筆頭に1980年までに作曲されたスティーヴン・ソンドハイムの楽曲しか使っていないのだ。
公式によると、1つのテーマから連想される楽曲を1話完結のオムニバス形式で繋げたミュージカルの形式を「song cycle」と呼ぶのだそう。
そして今回のテーマは「男と女」。


この「song cycle」について、アフタートークで演出の藤倉さんが「美術館で一貫したテーマの絵画を観る感覚」と解説していたが、正にそんな感じ。
送られてきた台本のト書きにも少ない情報しか載っていなかったんだそう。決まった台詞もない。
美術館の絵を見る時もそうだが、直接的なストーリーはなく、登場人物も一貫して同じ人物が出てくるわけではないので、見る側が歌と音を聞いて、自由に想像を膨らませて見ることが正解なのだと思う。


企画コンセプト

《一本の脚本 × 二人の演出家 × 一人のプロデューサー》
1本のミュージカルの脚本を二人の若手演出家〈藤倉梓と上田一豪〉が別々に演出し、二つの作品を創り上げます。
共有するものは脚本と音楽と舞台美術。
演出家それぞれ音楽監督、出演者でチームをつくります。
(公式HPより)

生憎私は藤倉さん演出のAチーム1組しか観ていないが、役者によってもまた解釈が変わってくる作品だと思う。

あるものを受け取るだけでも充分楽しめるお芝居だと思うし、芸術作品らしい見方をすると、より一層作品に深みを感じられる作品なんじゃないかなと思っています。

 

あらすじという名のセットリスト


※下記のあらすじはあくまでもイメージです。
※あらすじというあらすじがこの作品にはないので、私が見て感じた解釈と劇場で貰った曲の解説を元にまとめたものになります。

※うろ覚えな部分が多々あります。

1."Two Fairy Tales" (cut from A Little Night Music)

「昔々あるところに…」男と女のおとぎ話からこの物語達は始まる。

2."Saturday Night" (from Saturday Night)

週末の夜に男と女が独りきり。退屈な夜をそれぞれが明るく?過ごす。

3."Can That Boy Foxtrot!" (cut from Follies)

偶然見かけた上の階の住人に一目惚れをして「イケメンじゃないけど…でも理屈じゃない!」「彼と踊るのよフォックストロット(社交ダンス)!」と妄想を広げる女。

4."All Things Bright and Beautiful" (cut from Follies)

男は書く、美しい物語を。そしてそのまま物語の中へ…と思ったら下の階の住人が何だかうるさい。

5."Bang!" (cut from A Little Night Music)

これは戦いだ!戦争だ!女をカッコ良く口説く妄想をする男。

6."All Things Bright and Beautiful (Part 2)" (cut from Follies)

そして、静かになった部屋で物語の続きを再び書き始める男。

7."The Girls of Summer" (from The Girls of Summer)

熱い夜、女は夢という名の幻を見る。

8."Uptown, Downtown" (cut from Follies)

「彼女の名前はそう…ハリエット」下の階に住んでいる女がどんな女性か男は想像する。

9."Who Could Be Blue?" (cut from Follies)/"Little White House" (cut from Follies)

雨の中で出会う二人。目が合って、恋をした。

10."So Many People" (from Saturday Night)

たくさんの人の中で貴方(君)と同じ方向を向いて歩ける喜び。

11."Your Eyes Are Blue" (cut from A Funny Thing Happened on the Way to the Forum)

「昔々あるところに、青い瞳の女の子に恋をした少年がいました」男は自分の愛の物語を女に捧げる。

12."A Moment With You" (from Saturday Night)

「恋をしたらライト兄弟みたいに空だって飛べちゃう!」大きく手を広げてはしゃぐ男と女。…なんてね?

13."Marry Me a Little" (cut from Company)

「私と少し結婚してみない? 何でも受け入れるし、怒らないようにするから!」と男に踏み込む女。

14."Happily Ever After" (cut from Company)

「一緒に暮らすなら色々と妥協しなきゃいけない…でもそうだね、それでも幸せかもね。我慢するのは嫌だけど」と女に歩み寄る男。

15."Silly People" (cut from A Little Night Music)

一線を越える二人(いわゆるベッドシーン)(このナンバーだけ音楽監督の松村さんが歌っている)

16."There Won't Be Trumpets" (cut from Anyone Can Whistle)

これは小さな警告。彼は(彼女は)運命の人じゃなかったのかもしれない。夢を少しずつ整理する男と女。

17."It Wasn't Meant to Happen" (cut from Follies)

甘い夢はもう終わり。ありがとう。さようなら。男と女、二人の時間は終わりを告げる。



***

西川さんと清水さんペアは、とにかくキャッチーで、ポップで、チャーミング。
楽曲自体ぶっ飛んだ歌詞なので(詩的と言いなさい)それを楽しそうに自分なりに唄い、演じる2人はとても魅力的。

西川さんはたまにライブや芝居などで拝見しているのだが、清水さんは初めましてのお方。
レミゼでのコゼット役が好演という噂は聞きつつも、清水コゼットの日のチケットを私は持っていなかったので観れなかったんですよね。

で、今回初めて彼女を拝見したのだけれど、すっっごく可愛かった!!!(女優好きスイッチON)

根っからのヒロイン気質というか、夢と希望に満ち溢れたヒロイン役が凄く似合うチャーミングな女優さんだな、と。
目がキラキラしてて可愛い。あと口も可愛かった。
「Can That Boy Foxtrot!」では二人の男にダンスに誘われる設定の妄想を一人三役でやっていたのだが、一人宝塚ごっこみたいで見ていて可愛かったし面白かった。
けれど、実際独身女が一人家の中であんなことしてるなんて他人にバレたら恥ずかしくて外に出られないよね。
私もよくミュージカルごっこ家でやるけど(しれっ)

「Your Eyes Are Blue」では「青い瞳の女の子」と清水さんを見て歌う西川さんを見る彼女の表情とか動きがとにかく可愛くてずっと目で追い掛けてしまった。
あと、とても歌声がクリアーで聴き心地が良かったです。
2017年のレミゼにまた出てくれないかなー。そしたら今度は絶対に観に行きたい。

なので、正直あまり西川さんのことは見れてませんでした(言った)
けれども、チャーミングな外見に反して中身がとてもアーティステックな方。
歌自体に表現力がある人だなと思っているので、ただ歌っているだけでも叙情的で素敵。
アフタートークでの会話によれば彼曰く、西川としてライブ感覚で歌っているところもあれば、ここは物語の役として歌っているという部分もあるらしく、けれども基本的にはライブ感覚で歌っていた、と。
元々「song cycle」自体スタンドマイクの前で歌うのが基本?なので今回の作品のようにセットや小物がある芝居ががったものは珍しいのだそう。へー。

あと個人的に西川さんと清水さんの身長差に萌えました。可愛い。
ベッドで絨毯に乗ったアラジンの真似をする西川さんもキュート。

「A Moment With You」では西川さんが得意なタップダンスも披露。
2人で楽しそうに踊る姿にこちらも思わず楽しくなる。
それとやはり、清水さんは「これはこういう感じで」って一曲ずつテーマを決めてその役をこなす女優タイプで、西川さんは自然体で特に大袈裟な芝居をする訳でもなくっていうスタンスは結構分かりやすく出ていた気がする。


アフタートークでの西川さんの話曰く、直接的表現を使わない作品な分、演じる側が設定を盛りすぎるとそこだけが妙にリアリティになってしまい浮いてしまう気がするのだとか。
ちなみにBチームを観てはいないのであまり言えないのだが、Bチームの演出には台詞とストーリーがしっかりとある。
Aチームには台詞もストーリーもない。
恐らくこの余白の違いを言いたいのかなと。
Bチームのように台詞やストーリーがしっかりしているということはその中での設定という名の視野が予め定まっているので、客は「そういうもの」として観るけれど、Aチームのように一曲ずつ登場人物も異なれば場所や時間も変わるとストーリーに一貫性がないように見えるし、「もしかしたら」のifの部分をどうにでも解釈することが出来る。
そういう観る側の「余白」があるかどうかの差が、AとBの違いなんじゃないかな?とBを観ていないクセに勝手に思っています(Bの演出ノートだけは読んだ)

話を戻そう。

そういえば、ベッドシーンで突然演奏者が「愚かものたちよ~」って歌い始めるから「登場人物天の声が増えた!」って思った私。
でも夢が醒める前兆のような歌詞で、本当にソンドハイムの歌詞は全体的に直接的でない歌詞が多く、捉え方に答えがない。
全体的に見て、個人的にシェイクスピアの「夏の夜の夢」を思い出す雰囲気の作品だなと。
特に「The Girls of Summer」から一気に。
「Two Fairy Tales」から始まっているから余計にそう感じるのだろうか?

叙情的だとどうしても「間」とか「タイミング」とかそういうものまで要求されてくるからお芝居って難しいのだけれど、あくまでもこの作品はレビューのようなものなので、ライブ感覚でぽんぽん話が進んでいくし見ているこっちも気兼ねない。
藤倉さんや西川さんは「song cycleがもっと日本にも浸透すればいいな」と言っていたけれど、海外ではメジャーなジャンルなのだろうか?(無知で申し訳ない)
演劇は客に「考えさせる」が醍醐味だと思っているので、こういった考えさせられる、想像を掻き立てられる作品を観る機会が増えるのは個人的に好ましいと思う。


そうそう、想像を掻き立てられる、といえば劇中で女はよくスケッチをしていた。
曲に合わせて「グィネヴィア&ランスロット」「Shall we dance?」「ボニー&クライド」「ミュシャの四季『夏』」「アモールとプシュケ」のスケッチを壁に貼っていく女。
それらのスケッチの意味を考えるとまた違った解釈も出来るのだが、そこをまた語りだすとキリがないので今回は考えません。他の解釈は皆さんにお任せします(てへぺろ)

何はともあれ、こういった新しい試みを観ることが出来たのは単純に良かったです。

Marry Me a Little

Marry Me a Little

 

 

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