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観劇こそ我が人生

~観劇備忘録~

【配信放送】音楽劇「赤い竜と土の旅人」【感想】

 

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ある日、ぼーっとしながらTwitterを眺めていたら、「『赤い竜と土の旅人』のUstream配信があるよ」というツイートを見かけたのがこの作品を知ることになったきっかけ。
「地下空港」という劇団の存在もこの時に初めて知った。
キャストのこともよく知らなかったが、とにかく演劇と聞いたらなんであろうと観てみる食わず嫌い主義なので、この放送を観てみることに。
 
演出がとてもシンプルで、特にセットもなく小道具と椅子だけを使って進められていく世界は、凝った衣装も相まって雰囲気は出ていた。
ウェールズの伝承をモチーフに、原発事故を元にして作られたこの作品は、正に今この3月の時期に見て、考えるべきことを与えてくれる作品。
 

簡単なあらすじ

貧困と北風に晒される海辺の町に、孤児で片足のない青年がいた。
その地の深くには赤い竜が眠ると言われ、青年はいつもその声を頼りに生きていた。
ある日、海の向こうから土の旅人と名乗る者たちが流れ着き、町は大騒ぎとなる。
その処遇をめぐり町の人々が議論する中、旅人はとある謎の契約を 人々にもちかけるのだが…。

(公式HPより)
 

感想

主演のロイ役村田慶介さんとセネ役の田代絵麻さんがとても素敵だった。
2人の演技の相乗効果で最後はシクシク泣きながら見ていた。
 
悪い商人役(名前分かりませんでした)の人が本当に胸糞悪いレベルで悪い役だったのが印象的。
客にそう思わせたら役者の勝ちだと思う。凄い。
 
しかし、そんな悪い商人でさえ、生きる為に必死なのだ。
作中では、どの人も必死に自分の望みや願いを叶えようとしていた。
ただ、その方法が決して正しいとも間違っているとも言えないようなことなだけであって、みんな決して悪い人間ではないのだ。
醜い人間の感情が入り乱れる中で、ロイだけは赤い竜の言葉を聞き、真っ直ぐに生きていた。
 
劇中のカップルも、あんな環境でなかったらきっと幸せだったろうに。
幸せになる人の裏には不幸になる人が居るって誰かが言っていたけれど、それは「誰」が問題なのかではなく、与えられたものをどう自分自身で受け止めるかの問題なのかもしれないな、と思った。
 
海辺の町に流れ着いた旅人達と窯は文明と原発を比喩したもので、その窯のおかげで人々は豊かな生活を手に入れることが出来た。
しかし、事故で暴走してしまった窯は窯に入った全ての人に穴を開けてしまう。
それに対して「誰のせいなのか」と言葉をぶつけ合う町の人達と、「これからどうすべきなのか」を考える主人公。
大事なのは「誰のせいなのか」と原因を擦り付け合うのではなく、「今」を「これから」をどうするべきか考えることこそが必要なのだと主人公を通して強く伝わってきた。
 
この美しいファンタジーの世界で起こる全ての考えや人々の行動や現象は、正に現代そのものだった。
実際に起こった問題を演劇を通して改めて向き合い考えることで、昨日よりも一歩、希望に向かって足を前に進められるようになれたら、それだけでも未来はあるのだと思う。
 
 
音楽劇「赤い竜と土の旅人」
 <スタッフ>
伊藤靖朗(脚本・演出・作曲)
石田多朗(作曲)
<出演>
村田慶介、田代絵麻、野田孝之輔
鎹さやか、野々目良子、竹岡常吉、大塚由祈子
逢沢凛、鈴木智久(スタジオライフ)、山内貴人、山田寛人
檀上太郎(創造集団g-クラウド)
<コーラス>
綾坂なんり 小島望 そのださえ 竹鼻優太 徳永翔太 中尾綺夏 水澤綾太 宮島はるか

 

 
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