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観劇こそ我が人生

~観劇備忘録~

ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」【感想】

ミュージカル さ行

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ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」両チームを観劇してきました。

スピーディーに、まるで走馬灯のように4人の生き方が描かれていた作品。
観劇した順番はREDチーム→WHITEチーム。
チームそれぞれの感想を言うと、深みのあるRED、勢いのあるWHITE。ってくらいにそれぞれ特徴のあるチームでした。
中川アッキーさんの歌声をこんなに長い間聴くことが出来る舞台なんて、滅多にないんだろうなぁ。

※以下、ネタバレ注意※

 

簡単なあらすじ

ニュージャージー州の貧しい地区に生まれたフランキー・ヴァリ、ボブ・ゴーディオ、ニック・マッシ、トミー・デヴィート。
「天使のような歌声」と称されたフランキーの歌声を聴いたトミーとニックは、フランキを自分たちのグループに誘い、バンド活動を始めた。
その後、ジョーの紹介でフランキーの歌声を聴いたボブが高い作曲能力を見初められ、彼らのバンドに加入。
そうして「ザ・フォーシンズンズ」としての活動は始まった。
「Sherry」の大ヒットをきっかけに数々の名曲をヒットさせ、全米ナンバー1にまで登りつめる彼ら。
しかし、栄光を手に入れたと同時にメンバー内での裏切り、家族との別離、軋轢など数々の不幸が彼らを襲う……。

 

メインキャストの感想

【REDチーム】

トミー・デヴィート/藤岡正明
美声のチンピラ。そんなトミー。
仲間のために当たり前のことをやっているだけ、それの何が悪い?寧ろ敬うべきだろう。というスタンスなので見ていて腹が立つトミーだった。もちろん良い意味で。
ある意味、男らしいとも言える。
相変わらずの美声は、ポップミュージックにマッチしていてとても素敵だった。
フランキーとトミーのデュエットは、凄く歌が上手い人と凄く歌が上手い人の歌声が混ざりあって、脳みそが足りない私にはちょっと意味が分からなかったですね。
つまりはとてつもなく凄かったんですよ(著しい語彙力の低下)


ボブ・ゴーディオ/矢崎広
ナチュラルピュアピュアボーイ。そんなボブ。
ボーイって年齢でもないのに、ボーイに見えてしまうナチュラルな演技が新鮮な人だなと改めて。
階段でのコケ芸は最早鉄板。
若手の中でまぁ、歌える人という印象の彼。
特に歌が爆発的に上手くなったとかそういうのは感じられないのだけれど、魅力的な声と歌声をしているなとは毎度のことながら思う。
イケメン俳優は伊達じゃなかった。


ニック・マッシ/吉原光夫
身体は大きいけど繊細。そんなニック。
おそらくREDチームの中で一番役に深みをもたせていたんじゃないだろうか。
1幕では出来るだけ前に出ないように控えめな演技が印象的(パーティーのシーンは別)。
一つの動作にも根拠付けて動いているのが印象の俳優さんなので、ついつい目で追いかけてしまった。
そういえば、あんなにちゃんとダンスをしている吉原さんの姿を見たのは初めてかもしれない。
アンコールライブ?でのはっちゃけ具合が可愛らしかった。

【WHITEチーム】


トミー・デヴィート/中河内雅貴
見た目とは裏腹に真っ直ぐで素直。そんなトミー。
藤岡トミーと違って、仲間の為にやったことなのにどうして分かってくれない?という純粋さがあった。
そのお蔭か、藤岡トミーより中河内トミーの方が感情移入しやすかったかな。
今回は歌唱指導がしっかりしているカンパニーだったようで、いつもより安定感のある歌い方だったと思う。
歌うま怪人達の中プレッシャーも大きかっただろうに。頑張っていた。


ボブ・ゴーディオ/海宝直人
頭の切れるお坊ちゃま。そんなボブ。
若いという意味でもピッタリだったけれど、子役上がりならではのしっかりした佇まいと育ちの良さもピッタリだった。
将来を見据えて確実な道を選び取って、しっかりとした土台を作るタイプのボブだった。
突き抜ける歌声は圧倒的。


ニック・マッシ/福井昌一
目立ちたいけど目立つ柄じゃない。そんなニック。
やってやろう!という気持ちはあるものの、具体的に何もないからみんなに着いていく。という感覚が絶妙だった。
吉原さんのニックと違って、チャーミングさが多めだった福井ニック。
最初に観た吉原さんのニックが何処か達観している印象だったので、福井さんのニックが爆発系だったのには驚いた。
レミゼラブル以外の福井さんを見たことがなかったので、バルジャンしてない福井さんは新鮮だった。


フランキー・ヴァリ/中川晃教
「SHIROH」を見た時も、今回のジャージーボーイズを観た時も、この人以外にこの役をこなせる人は居ないだろうと思わせるその確かな歌声はどうしたら出来上がるのだろう?
と、正に「天使の歌声」という唯一無二の歌声を今回も劇場に響かせてくれた彼。
演技派わちゃわちゃREDチームではREDキャストに背中をわいわい押され、美声でお行儀の良いWHITEチームではWHITEチームを引っ張っている印象だった。
吉原さんの番組で、藤岡さんが「今回彼は得意な歌い方を封印して、フランキーの為にトワングという歌唱法に変えている」と言っていたのだが、それをシングルキャストでやってのける中川さんは月並みだが「凄い」の一言に尽きる。
日本初演にして日本で唯一のフランキー・ヴァリ役中川晃教の歌声を生で聴ける喜びを改めて感じた。
ちゃんとCD買います。

感想


映画版のジャージー・ボーイズは、どちらかというと楽曲を背景として使っている印象が強かった。
それに反して、舞台版のジャージー・ボーイズは、ジュークボックスミュージカル。
歌と物語のパートがきちんと振り分けられていて、芝居単体でも楽しめるし、既存の楽曲を使っているのでミュージカルというよりはライブに近い感覚で舞台を楽しめる構成になっていた。
日本版は、映画版と舞台版の中間くらいという感じだろうか。

そんな中で印象的だったのは、1幕終わりの「Dawn」で客席に背中を向けて歌うシーン。
まるで4人の後ろ姿が有名なジャージーボーイズのポスターを彷彿とさせるようで、視覚的にジャージー・ボーイズだ!と初めてでも楽しむことが出来た。

メインキャストももちろん素晴らしかったのだが、アンサンブルキャストも個性豊かで色々と楽しませてくれた。
特に太田さん扮するボブ・クルーの安定感たるや。
彼の安定感は何処仕込みなのか。いつでも同じものを引き出せるのは結構な強みだと思う。

冒頭でもトミーが言っているが、彼らがフォーシーズンズになってロックの殿堂入りを果たすまでには、4通りの人生が存在している。
友情、嫉妬、家庭、業界のいざこざなど、極普通の私達にも有り得る人生。
栄光からの堕落とは言っても、浮世離れした話はなく、身近な問題が彼らを苦しめた。

それでもフランキーがやっていこうと思えたのは、やっぱり音楽を愛していたからで、音楽があるから今の自分があると考えていたのかもしれない。
だからこそ音楽にたくさん触れるきっかけをくれたトミーのことは神様くらいに思っていたのかもしれない(トミーもフランキーのことは天使とでも思っていたのかも)
同じく作曲の才能があったボブも、フランキーと一緒に音楽の道を愛し、それしかないとでも言うように歩んだ。
ニックはニックで、常に自分が1番良いと思えることを選択した結果が、バンドを抜ける結果だったのかもしれない。そうしてずっと選択し続けていたのかもしれない。
そしてきっと、誰よりもフランキーの歌声を信じていたトミー。
映画とは違って、少し可哀想なくらい悪者に描かれていたけれど、多分メンバーの中で一番の仲間想いだ。
貧しく悪事の絶えない街で生きていくっていうのはこういうことなんだ、というのを背負い込んだトミーには同情するしかない。
それでも「俺がフランキーを初めてステージに上げたんだ。ボブをグループに入れたのもヒット曲が出るまで頑張れたのも俺のおかけ。故郷で、俺は今でもヒーローだ!」と言えるのがトミーの愛すべきところで、誰かと一緒に生きることで彼は強くいれたのかもしれない。
そんなことを思った。

今回が日本初演ということなので、再演も期待したい。

 



【公演情報】
ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」
プレビュー公演:2016年6月29日(水)・30日(木)
2016年7月1日(金)~ 31日(日)
会場:日比谷・シアタークリエ

<スタッフ>
脚本:マーシャル・ブリックマン&リック・エリス
音楽:ボブ・ゴーディオ
詞:ボブ・クルー
演出:藤田俊太郎

翻訳:小田島恒志
訳詞:高橋亜子
音楽監督: 島 健

<キャスト>
中川晃教
藤岡正明(R)/中河内雅貴(W)ダブルキャスト
海宝直人(W)/矢崎 広(R)ダブルキャスト
福井晶一(W)/吉原光夫(R)ダブルキャスト

太田基裕 戸井勝海 阿部裕
綿引さやか 小此木まり まりゑ 遠藤瑠美子
大音智海 白石拓也 山野靖博 石川新太

 

ジャージー・ボーイズ [DVD]

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