観劇こそ我が人生

~観劇備忘録~

「メロメロたち」【感想】

f:id:ppboo013974:20160731131545j:image

 

悪い芝居の公演を観劇してきました。初、悪い芝居。
バンドシリーズものとのことで、バンドものらしく青春してんなって脚本だったし、1幕で散らかしたものを2幕でかき集めてキラキラしたものとして頭の上にふりかけてくれたから、言いたいことはまとまっていたと思う。
愛すべきバカ達が全力で可愛くて愛しくなる、そんな舞台だった。

 
※以下、ネタバレ注意※

 

簡単なあらすじ

時は戦時中。
若者たちは学兵として、男女問わず軍事訓練を課されていた。
実戦訓練場で、生恥つづきは同じ班で親友の逆走たみと遭遇する。しかしつづきは、たみの裏切りにより、銃で撃たれてしまう。
自らの手によって命の炎を消したつづきの耳に、たみはヘッドホンを付けてやる。すると、つづきが大好きなロックバンド、メロメロの曲「大量破壊兵器日常」が大音量で溢れ、彼女の命は再び燃え始める。
トラックに乗せられ、激戦地・長崎に送られた学兵たちは、戦場でレコーディングをしているメロメロに出会う。
敵と勘違いしたつづきが放った銃弾は、その彼が大好きなバンドだとも知らずにボーカルの蒔田終の心臓を貫いた。
終戦から5年後、メロメロを解散したあともドラムを叩き続ける元メロメロのドラマー・葉蔵のもとに音楽ライター・神谷ふりかけが取材にやってくる。
執念につきまとうふりかけによって、メロメロの記憶が呼び起こされていく。
「命燃やして生きようぜ」
そう言った終はもうこの世には居ない。葉蔵は、今の自分は果たして燃やす命を持ち合わせているのか。ずっと自問し続けている。
葉蔵と同じように、あの日知らない自分に出会ってしまったつづきは、以来、ヘッドホンを外すことはなく、友の声に耳を塞いだままでいた。
葉蔵とつづきが音楽を取り戻したとき、やがてメロメロ最期の曲「ライフイズラブリー」は、優しくふたりを包み込むメロディーを手に入れるだろう。
(パンフレットよりそのまま拝借)

 

感想

 

もっと簡単に言えば、色々な人が色々な問題を抱えていて、そんな人達を音楽というツールが繋いでくれた。みたいなお話。
物語性よりも精神論の方が強い芝居だった。
初めは荒々しくてめちゃくちゃで、何が言いたいのかサッパリ分からなかったのだけれど、観終わった後、素直に「シンプルな芝居だな」と思えた。
芝居の中で色々言っているけれど、結局言いたいことはひとつで、誰かを思って思われたいってことだ。
人に見られて、認められて、初めてその人はその人として生まれるわけで、一所懸命に話しても一所懸命に頑張っても無視されたら生きていないのとそれは同じだ。
「あの曲で歌われてるのは私のことだ」ってのもよくある話で、その時の状況、体調、心情によってピタッとハマる音楽に出会うと「この音楽は私を救ってくれた」って気になる。女の子は特に。
そうすると、その曲は人に思われて、初めて曲としての意味を持つ。それは人によって捉え方も異なるし、その人が最高の音楽なのだと思えばその音楽はその場所で最高の音楽になるのだ。
そういうのを全部ひっくるめて惜しげもなく晒している、恥ずかしい人たちを見る恥ずかしい私たち観客。
寂しがり屋の終が作った曲に同じく寂しがり屋たちが集まって、嬉しい気持ちも悲しい気持ちも恥ずかしい気持ちも全部×0にする。
ライブが終わって外に出た時に、思わず空を見上げて地球ごと愛おしいと感じるようなそんな気持ちになれる。
当たり前の愛おしさや醜さを改めて口にして、それでいいんだよ大丈夫たよって認めて抱きしめてくれるのがメロメロだ。
「このお芝居は私だ」
そう感じたらもうきっとこのお芝居にメロメロなのだ。

 
と、コラムっぽい感想はここまでにしておく。

 

悪い芝居を観るきっかけになったのは大久保祥太郎くんなのだけれど、
まだ見たことのない新しい大久保くんを見せてくれたことにも感謝したいし、大久保くんを通して、この悪い芝居に出会えたことにも感謝したい。
今まで色々なお芝居を観ているけど、同じような芝居をやる劇団はなくて、何時だって新しい感性を私たち観客にくれる。
そして、今回のようなアバンギャルドな内容でも見事にマッチングしているのだから大久保くんは本当にマルチな役者さんだ。
役が役として生き生きしている中に大久保くんらしさも感じた。
それは他の役者さんも同じで、今回が初舞台だという石塚ちゃんも生恥つづきとして舞台の上で生きていたと思う。あとなんてったって、かわいい。

衣装も可愛くて、バンドメンバーのへんてこりんな衣装もふりかけのだぼだぼした探偵みたいな衣装も面白かった。
学生達のリュックの中身も個性的で、つづきのリュックにはヘッドホン。絶対のリュックにはケープとかお洒落グッズ。夢のリュックには紙風船。たみの鞄の中身だけは分からなかったのだけれど、彼女の鞄には何が入ってたんだろう。
気になる。

この作品を例えるならなんだろう、って考えた時に「お母さんが作ってくれたカレー」が出てきた。
「お母さんお腹空いた!ご飯食べる!」
「アンタ何処に行ってるのかと思ってたらまたこんな時間まで外出てたの。宿題は?」
「ご飯は?!」
「ご飯の前に宿題やんな。終わるまでご飯は抜きだからね!」
「嫌だー!!!!」
そうやって嫌々ながらも何とか宿題を終わらせて、おそるおそる居間に出向いたら、ほかほかの白いご飯に熱々のルーがかかったカレーとお母さんが待っていた時みたいな、そんな作品だなと思った。

こういうお芝居をたくさん観て、たくさん愛していけたらいいなあ、と切に思った。

(結局コラム風に終わる)

 

 

悪い芝居「メロメロたち」

2016年7月15日(水)~20日(水)
大阪府 HEP HALL

2016年7月26日(火)~31日(日)
東京都 赤坂RED/THEATER

作・演出:山崎彬
音楽:岡田太郎
出演:植田順平、呉城久美、中西柚貴、渡邊りょう、北岸淳生、畑中華香、長南洸生、岡田太郎、山崎彬 / 石塚朱莉(NMB48)、大久保祥太郎、アツム(ワンダフルボーイズ)

 

広告を非表示にする